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36協定は働き方改革法でどう変わる?特別条項と罰則付き残業時間上限を解説

2020年1月15日

働き方改革関連法も成立し、今後は労働に関するさまざまな改正法が施行されます。働き方改革が話題になるとき、必ずといってよいほど出てくる36協定ですが、意外と詳しくご存じの方は少ないようです。
そこで、ここでは36協定の基礎知識や、新たな協定に関する注意点などについてまとめてみました。
本格的に働き方改革を推し進める前に、しっかりと覚えておきましょう。

そもそも36協定とは

労働者は法律で定められている時間を超えて働くことができませんが、例外として労働組合、もしくは労働者の代表と協定を結んだときは可能となります。つまり、「法定時間をオーバーして働いてもらうときにはあらかじめ協定が必要になりますよ」ということです。いわゆる「36協定」と呼ばれるものですが、労働基準法の36条に該当するため、こうした呼び方になっています。

労働基準法では、1週間に40時間を超える残業は原則禁止されています。労働基準法違反となり、企業はペナルティを科せられることになりますが、それを回避するための方法が36協定の締結です。

つまり、企業が従業員に対して時間外労働をさせても違法とならない協定、という認識で問題ありません。労働基準監督署に必要な届け出をすることによって、本来は違法になってしまう残業を認めてもらえる方法です。

働き方改革法で36協定にも変更点

すべての人が活躍できる社会の実現に向けて、働き方改革法は成立しました。人々が柔軟かつ多様な働き方をチョイスできるための改革であり、2019年4月から一部の改正法が施行されています。

「今まで通りの働き方ではダメなの?」と疑問を抱く方がいるかもしれませんが、日本における労働力人口は思いのほか減少しています。少子高齢化はますます加速しており、今後多くの企業は人材を確保することが難しくなると考えられているのです。

では、労働力不足を解消するにはどうすればいいのかということですが、シンプルに働く人が増えれば問題は解決します。ただ、そのためにはさまざまな属性の人が働きやすい企業が増えなくてはなりません。そのためには、正社員と非正規労働者との格差を解消する、長時間労働をなくすといった取り組みが必要になります。

特に、長時間の労働が常態化している企業へあえて就職しようと考える方は少ないでしょう。しかし、現実には多くの企業が36協定を盾に従業員へ無制限の時間外労働を要求しています。

働き方改革では、こうした現状を理解した上で36協定にも変更が加わることになりました。これまでは実質的に残業時間の上限がなかったところへ、斬りこんだのです。


新しい36協定の「時間外労働の上限規制」とは

働き方改革において、長時間労働の是正はもっとも力を入れているポイントです。先述したように、これまでは企業がその気になれば従業員に対しいくらでも残業させることができました。しかし、新たな36協定ではそれを許さず、時間外労働の上限を設けているのです。これがもっとも大きく変わった部分といっても過言ではありません。大企業は2019年4月より、中小企業は2020年4月1日より適用されます。

重要点である「特別条項」について

法律によって働ける時間は定められていますが、業種や企業によってはそれだと間に合わないこともあります。たとえば、普段はまったく残業など必要ない会社でも、繁忙期になると驚くほど忙しくなるようなケースはよくあることです。このようなケースだと、法律を守ろうとするとビジネスが立ち行かなくなる恐れも考えられるでしょう。

特別条項はこうしたケースに用いられます。特別条項付きで協定を締結することによって、従業員には法律で定められた上限の時間を超えて働いてもらえるのです。

なお、この条項はあくまで忙しい時期や緊急なケースを乗り切るためのものとされています。そのため、いくらでも上限を拡大できるわけではありません。1年の中で6回までと決められているのです。また、曖昧な理由や不確定な要素で使うことができないのも特徴です。

特別条項の適用は、あくまで特別な事情があるときのみに限られます。「もしかすると忙しくなるかもしれない」「とりあえず違法にならないよう残業の枠を広げておこう」といったケースでは使えないということです。締結するときには、きちんと具体的な根拠を示さなくてはなりません。

特別条項があっても守る必要がある「罰則付き残業時間上限」

これまでは実質的に残業時間に上限がなかったのですが、法改正ではそこにメスを入れました。特に注目を集めたのは、罰則付き残業時間の上限ができたことです。これは、特別条項が付いていたとしても守るべきものであり、違反したときにはペナルティが科せられます。

気になる上限ですが、1年に720時間以内と定められました。また、1ヶ月では100時間未満となっています。複数月の平均は80時間以内となります。

これらの時間をオーバーさせて働かせてしまうと、半年以下の懲役、または30万円以下の罰金となる可能性があるので注意が必要です。



新しい36協定に関する注意点

ここでは、新たな36協定におけるいくつかの注意ポイントをピックアップしました。まず、特別条項付きで届け出を行う場合には、従来とは違った書式での手続きが必要になるので覚えておきましょう。これからは、様式第9号の2という書式で届け出さなくてはなりません。

新書式では、2枚目に特別条項を記載するスペースが設けられています。これまでは余ったスペースになんとなく追記しておくだけでも受理されていましたが、法改正後はそうはいきません。より厳格になったので、細部にわたってチェックされます。これまでのように申し訳程度の追記では認められない可能性が高いので、詳細をしっかり記載しましょう。

また、特別条項の適用そのものが厳しくなっているのも事実です。これまでは、「著しく業務が増えたとき」といったような大まかな理由でも認められることが少なくありませんでした。しかし、法改正後は業務の種別に分けて細かい理由を記入しなくてはなりません。

これまでは「万が一忙しくなったときのためにとりあえず特別条項を…」といったケースも少なくありませんでしたが、今後はそれが難しくなります。

また、特別条項を使って上限を延長するケースにおいても、常に過労死ラインは意識すべきです。1年に6回までしか延長はできないため、企業によっては全部使いきらないと損だと考えることもあるかもしれません。しかし、そうした発想は企業の今後を考えると、決して望ましいものではないでしょう。

もし、万が一にも従業員が過労死してしまった場合、企業としてのダメージは計り知れません。ただでさえ働き手の確保が難しくなり、今後はさらに人材確保が困難になると予想される世情です。特別条項もできることなら使わない、狭い範囲で使うといった考え方をしなくてはなりません。

新しい36協定への対応方法

では、企業として、新たな36協定へどのように対応していけばよいのでしょうか。対策としては、働き方の見直し、生産性の向上、勤怠管理の精度アップといったことが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

働き方を抜本的に見直す

勤務時間をトータルで短縮化するための取り組みは大切です。36協定で定められた労働時間を確実に遵守するには、勤務時間や休暇に関する新制度の導入など、働き方を抜本的に見直すことが必要になるでしょう。

例えば、フレックスタイム制度の導入は効果的な施策の一つです。フレックスタイム制度があれば、月間の所定勤務時間内で従業員が自由に働くペースを決められます。そのため、1カ月のうち比較的忙しい週は多めに働き、閑散としている週は働く時間を抑えることでトータルの勤務時間が増えすぎないよう調整できるのです。

また、休暇制度を充実させることも有効でしょう。年次有給休暇制度を導入するだけでなく、上司が部下の有給休暇取得を普段から促したり、上司と部下との相談の場を設け有給休暇を消化する計画的を立てさせたり、といった取り組みも重要です。


生産性向上の取り組みを行う

36協定に対応するには、生産性を向上させる取り組みも必要です。働き方を見直し従業員のワークライフバランスを整えることでも、モチベーションアップ等により生産性の向上は見込めます。ただ、忙しい職場では、柔軟な勤務時間や休暇といった制度面の対応だけで労働時間を抑えることは現実的ではないでしょう。このようなケースには、仕事そのものを見直し、より効率的に成果を生むような対策が欠かせません。

生産性を高めるには、現在の業務を見直して必要な項目と不要な項目を分けたり、省略可能なものについてはアウトソーシングやシステム化をしたりといった施策が第一歩になるでしょう。社内研修などを行い、会社が率先して従業員の技術向上、および働き方への意識改革に取り組むのも有効です。


勤怠管理の精度を高める

これらに合わせて、勤怠管理の精度を高めることも重要です。企業がさまざまな取り組みを行い、従業員の労働時間を少なくしようとしても、現場での勤怠管理がずさんだと意味がありません。例えば、直行直帰などで勤務時間が正確に把握できず、実際には長時間にわたり従業員を拘束してしまっているようなケースもありえます。また、テレワークとして会社以外の場所で仕事をしている従業員がいる場合、勤怠時刻を正確に記録するには課題があるでしょう。

従来の勤怠管理の方法に限界を感じているのであれば、勤怠管理システムの導入も選択肢の一つです。昨今の勤怠システムでは、パソコンのログイン、ログオフ時刻と、タイムカードの 出勤、退勤時刻を自動で比較し、一定以上の差があれば、サービス残業ではないか、といったアラートをシステム側から通知することも可能です。これなら、タイムカードの時刻をごまかして仕事を続けるといったこともできません。

従業員の過重労働を指摘されると、企業としての管理責任が問われ、イメージダウンにもつながってしまうでしょう。そうならないためにも、柔軟な働き方を可能にする制度や勤怠管理システムの導入などを行い、適切に労働時間を調整・管理する対策が必要です。


新たな36協定では、実質的に労働時間の上限が加えられます。特別条項を付けたとしても、違反してしまうと罰則を科せられてしまうため注意しなくてはなりません。違法になるという点だけでなく、長時間労働は社員の健康を損ねることにもつながりかねません。新たな36協定も正しく理解し、従業員や会社を守るためにも、とるべき対策を検討しましょう。



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