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ニューノーマル時代の労務管理20選!対策Q&A Vol.2

2021年1月25日

ニューノーマル時代の労務管理20選!企業を守るために今必要な対策方法を解説します。
Vol.2はテレワーク編となります。
 ※2021年1月25日時点の情報に基づき作成しております。

コロナ禍を受けて導入したテレワークでは、 残業を禁止している。固定残業代も削減可能か?

【質問】
当社では従業員に固定残業代を支給している。但し、テレワークの際は原則時間外労働を認めないルールにしたので、テレワーク期間中は固定残業代は支払わないつもり。
何か法的に問題はあるか?

【回答】
固定残業手当は、通常、当該金額に相当する時間外労働・休日労働がなされない場合でも支払われる賃金としての性質を有しているため、テレワークに伴って時間外労働がなされなくなった場合、固定残業代相当額について実質的には賃金減額となり、労働条件の不利益変更となります。
 そのため、固定残業代を不支給とするためには、労働協約、就業規則変更、個別同意のいずれか必要となり、テレワークになるからといって当然に不支給として良いということにはなりません。

 そして、多くの場合に行われるであろう就業規則の変更ですが、判例は賃金についての不利益変更には合理性(労働契約法10条)を厳格に要求する傾向にあるため、慎重に手続を進める必要があります。

 この点、想定された時間数に達しなかった場合にも固定残業代が支払われるのは、賃金の支払事務を簡易にするという目的に基づくものであって、実労働時間との差額が支払われるのは当該目的の反射的利益に過ぎないともいえます。 また、通勤をしていた頃は固定残業代に近い残業があったために差額支払いもそれほど過重ではなかったものが、原則残業が禁止されたことで固定残業代相当額全額が当然に支払われるとすれば、企業からすれば不足額相当について賃上げをしたに等しく、不利益変更の必要性は高いといえます。
 
 もっとも、固定残業代の額が高額でその削減が従業員の生活に与える影響が甚大である場合、殊に実質的には基本給の一部を固定残業代として支給していたような場合には、従業員が被る不利益も看過できません。

 そのため、テレワークに伴って固定残業代制度の廃止をする場合には、労働組合や従業員代表との協議・説明を十分に行ったうえ、慎重に実行するべきといえます。

固定残業代制度の廃止は労働条件の不利益変更として当然にはなしえず、 むしろ賃金減額として慎重に手続を進めるべきです。

「移動時間」はどこまで労働時間として みなされるの?


【質問】
AM出社、PMテレワークといったケースを認める場合、PMに自宅まで戻る時間を通勤時間として差し引いても問題ないでしょうか?

【回答】
本来、労働する義務は持参債務であるため、職場まで移動する通勤は労働時間とならないのが原則です。  もっとも、始業後の移動時間については、当該移動が使用者の明示・黙示の指揮命令監督下にあると判断された場合には労働時間であると判断されるので注意が必要です。

 ご質問の、AM出社、PMテレワークという勤務形態が従業員本人の選択に基づくものであり、移動時間中の自由利用が認められているのであれば、労働時間ということにはなりません。この場合には、当該時間は休憩時間や私用外出(中抜け時間)として処理することになります。

 他方、例えば、就業時間中の移動そのものが使用者の命令に基づくものであるとか、移動時間中のモバイルワークを命じている等、移動時間そのものが使用者の指揮命令監督下にあると判断されるような場合には、例外的に移動時間も労働時間となります。  そのため、就業時間中の移動を認めるのであれば、予想外の労働時間性の主張を招かないように留意する必要があります。

この点、テレワーク規程によって移動時間が労働時間でないと明記するだけではなく、実際の労務関連上も徹底する点が重要となります。

移動時間が労働時間となるかは当該移動時間が使用者の指揮命令監督下にあるかがポイントです。 就業時間内の移動がありうるのであれば、明確にルール化するべきです。

休憩をしっかりとっていれば、 拘束時間が長くなり過ぎても問題ない?


【質問】
所定労働時間を8時間としていますが、テレワーク中に子供の世話などで、中抜け(休憩)を多くとる従業員がいます。結果、業務開始から終了までの拘束時間が8時間を大幅に超えています。問題ないのでしょうか?

【回答】
労働基準法でいうところの労働時間については、中抜け時間について厳密に管理し、指揮命令監督下にあった時間を所定労働時間内に収めることで不当な割増賃金請求は抑えられますので問題ありません。

 他方、新たに労働安全衛法第66条の8の3に規定された労働時間の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施するという観点から、労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったのかを把握するものであるとされており、場合によっては指揮命令監督下にない中抜け時間帯が拘束時間として労働時間に該当し得るとされる可能性はあります。

そのため、無制約な中抜け時間を認めることは好ましくなく、時間・回数に制限を設けるのが望ましいと考えます。
 加えて、むやみに中抜けが繰り返された結果、終業時刻が深夜時間帯にかかるといった事態は避けるべきであるといえます。

労働安全衛生法上の労働時間管理の観点から、 無制約な中抜け時間を認めることは避けるべきです。

在宅勤務手当の相場は?


【質問】
在宅勤務手当を全社員に向け5000円支給をしている。 (月10日以上の在宅勤務者のみ対象) その代わり通勤手当は支給しておらず、移動がある場合は実費精算としている。10日以上のみ在宅勤務者と支給額5000円という妥当性についてご教示頂きたい。

【回答】
在宅勤務が増えることで出社に伴う各種経費負担が減るという関係上、一定日数以上の在宅勤務者に対して在宅勤務手当を支給するという扱いそのものはあり得る対応かと存じます。

 また、テレワークの本格導入にあたって3000円~5000円程度の在宅勤務手当支給の企業が多い印象ですので、金額としても相場観から大きく外れた印象はありません。

 もっとも、テレワークの恒常化に伴い、本来業務費である費用を従業員に負担させる場合が出るかと存じますが(水道光熱費、通信費等)、労働基準法第89条第5号により、これらの費用を従業員に負担させる場合には、就業規則への規定が必要となります。

 この点、「在宅勤務手当」というネーミングの場合、何の費用に対する支給なのか(逆にいえば、何の費用は従業員に負担させることとしているのか)が不明です。 そのため、具体的に何の対価として5000円を支払うものであるのか、5000円が費用負担の対価でないのであれば、在宅勤務に要する費用のうち、何が会社負担で何が従業員負担であるのかを明示するべきであるといえます。

一定割合以上の在宅勤務者にのみ手当を支給すること自体はあり 得る扱いですが、在宅勤務に伴い業務費を従業員に負担させる場合、 就業規則への規定が必要となる点に注意が必要です。



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