局所排気装置等を設置する前に
考えること
- AMANOのコラム
- 2026年5月29日
はじめに
粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛などの取り扱いに係る粉じん障害防止規則、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則及び鉛中毒予防規則といった省令で、局所排気装置等の設置の義務がある場合は、これら有害物が発散する位置に設置する必要があります。
設置届について
設置に関しては、労働安全衛生法第88条に規定されているとおり、あらかじめ(30日前までに)労働基準監督署に設置届を出す必要があります。
(計画の届出等)
労働安全衛生法第88条第1項(抄)
事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
届出が必要な設備については、労働安全衛生規則別表7に示されています。
粉じんを例に挙げると次の通りとなります。
| 機械等の種類 | 事項 | 図面等 | |
|---|---|---|---|
| 23 | 粉じん則別表第2第6号及び第8号に掲げる特定粉じん発生源を有する機械又は設備並びに同表第14号の型ばらし装置 |
|
|
- 粉じん則別表第2第6号:
別表第1第6号又は第7号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、研磨材の吹き付けにより、研磨し、又は岩石若しくは鉱物を彫る箇所 - 第8号:
別表第1第8号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力(手持式動力工具によるものを除く。)により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所 - 第14号:
別表第1第15号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、型ばらし装置を用いて砂型を壊し、若しくは砂落としし、又は動力(手持式動力工具によるものを除く。)により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇所
| 機械等の種類 | 事項 | 図面等 | |
|---|---|---|---|
| 24 | 粉じん則第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置 | 粉じん作業の概要 |
|
- 粉じん則第27条第1項ただし書の規定により設ける設備
防じんマスクを着用しなければならない作業が粉じん則別表3に列挙されているが、着用の適用を除外するために設ける設備のこと
届出書類については、フードだけではなく、フード~ダクト~(空気清浄装置)~排風機~排気口に至るまでの図面等が必要です。
空気清浄装置は、有害物質によっては設置義務があります。前述の第6号、第8号及び第14号の設備には除じん装置の設置が粉じん則第10条で定められていますのでお忘れなきよう。
労働基準監督署に提出する書類は事業場側が作成しますが、局所排気装置等の図面や、制御風速や抑制濃度を満たすことを証明する書類は、局所排気装置等の設置業者等に用意してもらうことになります。
よい局所排気装置を作るために
局所排気装置等の設置には、それなりの費用が必要です。部屋(換気の不十分な屋内作業場)内に複数の場所で取り扱いがあるならば、すべての場所に設置する必要があります。
発生源、局所排気装置等設備のレイアウト、作業動線を見直し、新しい局所排気装置等を設置することにより、生産性の向上、作業動線の無駄を省き、局所排気装置等のメンテナンスがしやすい職場にしましょう。そのためには、作業場のことをよく知る作業主任者の意見を取り入れることが望ましいです。
有害物使用箇所を集約化してフードの設置箇所を少なくすることにより、必要とする排風量を小さくすることが可能となりますが、ダクト内の堆積などにより、局所排気装置等の性能は徐々に低下していきます。これは粒子状物質による堆積物によるものは当然ですが、有機化合物によっては、蒸気がダクト内壁で結露し、そこに埃や紙粉が付着して通気抵抗となります。排風量に余裕がないと数年で制御風速(省令で定めた有害物によって必要とする風速)を満たすことができなくなるおそれがあります。将来フードを増設することを見込み、主ダクトには枝ダクトを設置できるように分岐を用意し、枝ダクトを取り付けるまでは、蓋をしておき、排風機は排風量に余裕のあるものを選択することが望まれます。
「排風量に余裕がある」ということは、それだけ余分に電力を消費することになりますので、排風機の供給電力部にはインバータ制御を組み込み、排風量の変化に応じて適宜適切な電力を供給し制御風速を満たすようにしましょう。
設置業者の選定
設置業者はできるだけ実績があるところに依頼することが望まれますが、判断がつかない場合は、設置業者等の提案したプランを詳しい人物に見てもらい、意見を聴き、反映させることができれば期待に沿う性能の設備を設置することができると思います。
料金は発生しますが、衛生工学の分野の労働衛生コンサルタントに見てもらうことをお勧めします。コンサルタント以外では、有機溶剤、特定化学物質等の作業主任者か、衛生工学衛生管理者の免許を持った者に聞いてみましょう。作業主任者の技能講習には「環境改善に係る知識」、衛生工学衛生管理者免許の取得に係る講習に「労働衛生工学に関する知識」があり局所排気装置等の基礎知識を学ぶことになっていますので、大いに頼りましょう。
このコラムが後悔のない
設備の導入の助けになればと思います。
コラム執筆者:労働安全衛生コンサルタント
小島 将則
- 労働安全衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- オキュペイショナルハイジニスト
- 中災防安全衛生エキスパート
