外付け式フードを設置する前に考えること
- AMANOのコラム
- 2026年9月7日
はじめに
局所排気装置を設置する場合、まずは有害物の吸引を阻害する妨害気流の影響を受けにくい囲い式フードの設置を検討しますが、発生源となる物が大きく、巨大なフードを設計することになり、囲い式フードの選択が現実的でない場合があります。
そのような場合はプッシュプル型換気装置の導入を検討しますが、プッシュプル型換気装置も発生源の形状や設置する環境によっては、発生源を包み込むように一様に流れる気流を形成することができない場合がありますので、導入には維持管理をしていくことを含めて十分に計画を練る必要があります。
外付け式フードは作業内容によって、どのような形状が良いか考慮しなければなりません。囲い式フードでも触れましたが、作業を熟知されている方が導入計画に参画することは囲い式フード以上に重要になります。
また、外付け式フードは、せっかく設置しても正しく使わないと効果的が半減しますので、設置して終わりではなく、正しい使用方法を対象事業者の社内で教育する必要があります。
外付け式フードの基本的構造と特徴
構造条件
- 囲い式フード(すべての発生源をフード内に収めることができる)に該当しないフード
- 最も遠い作業位置で、法で定める風速を満たしていること
法で定める風速(「制御風速」といいます)は、有機溶剤、特定化学物質は次のとおりです
【有機溶剤】
| 吸引方向 | 制御風速 |
|---|---|
| 側方吸引 | 0.5m/s以上 |
| 下方吸引 | 0.5m/s以上 |
| 上方吸引 | 1.0m/s以上 |
【特定化学物質】
| 有害物の性状 | 制御風速 |
|---|---|
| ガス状 | 0.5m/s以上 |
| 粒子状 | 1.0m/s以上 |
- 参考:一部の特定化学物質や鉛は抑制濃度という別の性能で管理します
粉じんについては、特定粉じん作業によって制御風速が細かく定められていますので、リンク先を参照してください。粉じん障害防止規則第十一条第一項第五号の規定に基づく厚生労働大臣が定める要件(◆昭和54年07月23日労働省告示第67号)
制御風速を確保する工夫
制御風速を確保するには、排風量の大きいファンに交換すれば簡単ですが、設備費用やランニングコストを考えると容易に交換することができません。考えるべきことは2つあります。
無駄な捕捉気流を減らす
囲い式フードに比べると外付け式フードは、有害物を吸引するために周辺の空気ごと吸引しなければならないため、無駄が多くなりがちです。フードの形状を工夫するとともに、ルーバー型の選択も考慮してください。

ダクトのみの外付け式フードにフランジを付けると、開口部の後ろの無駄な空気を吸引することがなくなり、ロスが減少します。作業者が外付け式フードに近づく作業手順ならば問題ありませんが、逆に作業位置にフードを近づける作業手順であった場合は、フランジを付けることにより、フードが大柄になるため近づける手間をきらい、結果フードから離れて作業することがないように留意してください。
できるだけ発生源にフードを近づける
外付け式フードは作業位置(発生源)がフードから離れると捕捉気流が弱くなるため、フードの近くで作業しやすい工夫が必要です。

外付け式フードを設置するだけではなく、作業台や治具も一緒に考えると、より効果的です。例えば、下の図のように、加工物が大きく、机の奥に外付け式フードを設置するとします。

外付け式フードと発生源が離れてしまうため、必要な捕捉気流を確保することができません。そこで作業者の意見を聴き、作業性を確保して作業台や治具も一緒に設計し、できるだけ発生源にフードを近づけることができれば、より効果的です。

また、発生源が小型であるなら囲い式フードが望まれますが、下方吸引式フードを選択することもよいと思います。フードの開口面に発生源を置くことで、開口面からの距離を直近にできますし、囲い式フードの扉が邪魔になることがありません。
ただ外付け式フードの宿命である横風による妨害気流の影響を受けますので、アクリル板で囲った方がよいでしょう。

作業上の注意
外付け式フードと発生源を離さないようにする
フードから離れた場所で作業する理由を考えましょう。もしかしたら作業内容や発生源に対し、外付け式フードの形状や数などが合っていないことも考えられます。作業者に使い方を注意する前に、作業者の手間を減らす。またはどこまで手間を容認するか、よく話し合ってください。
捕捉気流を阻害する妨害気流を無くす
妨害気流は、窓や出入口から流入する気流、エアコンやスポットクーラーの気流など様々です。衝立やカーテン等を設けて気流が直接発生源に当たらないようにするなど工夫しましょう。
最後に
外付け式フードは、安価に作ることもできますが、安さだけではなく、効率よく、使いやすいフードや作業台を合わせて設計することが肝要です。
安く作れるから外付け式フードを選択するのではなく、発生源と作業方法をしっかり見極め、囲い式フードと外付け式フードの特性や利点を理解した上で作業現場に合うフードの設置を目指してください。
このコラムが後悔のない
設備の導入の助けになればと思います。
コラム執筆者:労働安全衛生コンサルタント
小島 将則
- 労働安全衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- オキュペイショナルハイジニスト
- 中災防安全衛生エキスパート
