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「開かれた県庁」を守り、歴史的建造物も守るセキュリティ対策「神奈川モデル」をアマノの協力で実現

  • 神奈川県庁
    総務局 財産経営部 庁舎管理課 課長 広野 信明様(写真右)
    総務局 財産経営部 庁舎管理課 庁内管理グループ グループリーダー 高屋 満様(写真左)
    総務局 財産経営部 庁舎管理課 庁内管理グループ 副主幹 三枝 勇紀様(写真中央)
  • 業種:
    行政機関
  • 拠点数:
    4庁舎(2025年2月現在)
  • 対象規模:
    921万1259人(2025年2月現在)
  • 運用開始:
    2024年10月~

事業内容:地方自治体
庁舎管理課のご紹介:県庁舎の施設管理・設備管理を担う部課であり、施設管理の面では、執務室の配置調整や会議室の管理、公用車の運行管理、建物の清掃、保安、敷地内植栽や駐車場の管理などを担当。また、設備管理の面では、電気、空調、通信等の設備を維持管理している。業務の特性から、職員は事務系・技術系で総勢80名を超える。

所在地:
〒231-8588 神奈川県横浜市中区日本大通1

※掲載内容は2025年1月時点の内容です。

  • 導入の目的

    来庁者、職員ともに最低限の手間で入庁できるセキュリティゲートシステムを設けたい

    国の重要文化財指定を受けている本庁舎の建物を保護しながら運用できるセキュリティ認証機が必須

  • 導入製品

    TimePro-VG

    (職員入退庁管理として利用)


    QRコード来訪者受付システム

    (来庁者入退庁管理)※1


    セキュリティゲート※2

    ※1:西部電気工業社製 ※2:日本ハルコン社製

1.難題が立ちはだかり進められなかった県庁舎のセキュリティ対策

Q:導入の背景について教えていただけますか?

安倍元総理銃撃事件、京都アニメーション放火事件などが世間を震撼させてきた中、神奈川県庁内でも、知事への脅迫状、庁舎爆破予告メールなどの事案が発生しています。神奈川県庁は「開かれた県庁」として「いつでも誰でも簡単に入ることができる」形で運営してきましたが、警察など関係者からも、現状について「あまりにも無防備である」、「何か起きてからでは遅い」との指摘を受けていました。

県庁舎は4庁舎から成りますが、それぞれ違う時期に竣工したこともあり仕様や設備がバラバラで、出入口も何か所もあるため管理が難しい。さらに本庁舎は「キングの塔」という愛称もある歴史的建造物のひとつで、国指定の重要文化財となっているので基本的に建物の躯体に手を加えることができません。つまり、アンカー打設が必要なセキュリティゲートなどは設置が難しい。これまでにも県庁舎のセキュリティ対策について検討されることはありましたが、こうした事情もあり、なかなか話が先に進みませんでした。

広野様、三枝様の写真

2.「人を入れて管理する」設計思想のシステムを求めて

Q:システム選定にあたって、優先度の高い条件はどのようなものでしたか。

まずは、重要文化財である本庁舎を傷つけずに運用可能なシステムであること。そして、これまで職員・来庁者とも自由に入庁できていたので、最低限の手続きで入庁できるシステムであること。さらに入庁後の運用には、できる限り影響がないこと。それから「訪問先が許可した来客のみ通す」といった『人を入れない』設計思想ではなく、『人を入れて管理する』設計思想のシステムであることでした。

Q:検討にあたって、岐阜県庁、大阪府庁の庁舎を視察なさったそうですね。

「百聞は一見にしかず」ということで、他に東京都や総務省、横浜市なども視察しました。岐阜県は庁舎建替え時に導入したということで、建物の設計段階から組み込まれていたため、非常に無駄のない洗練された形で収まっていたのが印象に残っています。大阪府庁は庁舎が複数あり、有形文化財である歴史的建造物も庁舎として使用しているなど神奈川県庁との共通点が多く、特に「既存の庁舎に据置型のゲートを設置する」という仕様は大きなヒントになりました。その後、各自治体の取り組みを参考にしながら、いわゆる「いいとこ取り」となるようなシステムを検討していきました。

Q:導入後は、逆に他の自治体から問い合わせや視察をお受けになることもありますか。

そうですね。都道府県庁へのセキュリティゲート導入はまだまだ多くはないでしょうし、むしろ先行事例に近いと思われますので、問い合わせを受けています。例えば愛知県庁は、やはり庁舎が重要文化財の指定を受けていますので、我々が大阪府庁を参考にしたのと同様に「制約の多い庁舎にどんな形でゲートを設置したのか」という点に非常に興味を持たれていたようです。導入に関しても、神奈川県は運用開始まで概ね1年程度とかなりスピード感を持って進めましたので「どのような流れで早急に対応できたのか」という点にも高い関心が寄せられました。

広野様の写真

Q:導入決定から運用開始までのご準備やアマノのサポート体制はいかがでしたか。

当初は「職員も来庁者も共通の入庁証を利用する」イメージを持っていましたが、アマノは身分証の電子化や勤怠管理への展開などの事業を広く手掛けているので、人事局と協力して「職員については職員証と入庁証を統合する」ことになりました。ただ、内部システムとリンクさせることになりますので、相互の調整などに専門的な知識も必要になってきますし、かなり苦労したという報告を受けています。

確かに県のサーバーに新たなシステムを導入するにあたっては、課題が山積していましたが、アマノには手厚くサポートしていただきました。そもそも、私がシステム関連の業務に関わったことがない状況でしたが、初歩的なことでも非常に丁寧に時間をかけてわかりやすく説明していただきました。

中でも「ミドルウェア(SQL Server)とは何か」について図書館を例に説明いただいたことは、非常に印象に残っています。当初はミドルウェアが必要と言われても、何を購入することになるのか、どうして必要なのかもわかっていませんでした。そこでアマノの担当者さんが「図書館をイメージしてください。図書館には多くの本があり、利用者はそれを借りたり読んだりできますが、多くの本があるだけに、直接必要な本を探すのは大変な作業です。ここで図書館員が登場し、利用者が探している本を見つける手助けをします。この図書館員の役割が、システムにおけるミドルウェアに似ています。つまり、ミドルウェアは、アプリケーションが必要とするデータやサービスを見つけ出し、適切に提供する役割を果たすものです。」と丁寧に説明していただきました。おかげで「SQLサーバーがなければ、ICカードの情報をデータベースに保存したり、県職員の情報と照合したりすることができないため、セキュリティゲートが利用できないのか!」と理解できました。

本事例を掲載した導入事例集はこちら

3.今まで見えていなかった「来庁者の様子」が数字で明確に表れた

Q:実際にセキュリティゲートを設置されてみての感想はいかがですか?

今回導入したセキュリティゲートは床面にアンカー固定の必要がなく、条件であった「重要文化財である本庁舎を傷つけずに運用可能なシステムであること」をクリアしております。4庁舎すべてに来庁者と職員兼用のゲート、職員専用のゲートを設置しましたが、それぞれ結果的には傷1つつけることなく、安心して導入することができました。

Q:現在、セキュリティゲートはどのように運用されているのですか?

職員は職員証、来客はゲート前の発券機で発行されるQRコード入庁証で認証を行っています。QRコード入庁証の発行時には「訪問先・人数・名前・電話番号」を入力していただいています。できるだけ手間なくお入りいただけるように、必要最小限の情報を厳選しましたので「最低限の手続きで入庁できるシステムであること」も果たせたと考えます。

訪問先についてですが、中には「庁舎見学」なども含まれていて、訪問先への確認やアポイントを求めるものではありません。入力情報の照合なども行っていませんが、手続きがあることで目的不明者の入庁抑止になればという考え方です。

運用開始直後の2週間程は混乱もありましたが、現在は非常にスムーズに運用できています。「事務室に断りなく一般の来庁者が入ってきた」といった不測の事態もなくなり、職員からはこれまでよりも、安心した気持ちで仕事に臨めるようになったという声を聞いています。

また、QRコード入庁証のデータによると、現在来庁者は4庁舎合わせて毎日約1000名いらっしゃいます。これまで来庁者数をカウントする仕組みはありませんでしたので、運用開始前は漠然と「所属数の多い新庁舎や福祉関係所属が入っている東庁舎の来庁者が多いのではないか」と考えていましたが、実際は「銀行ATM利用や庁舎見学を目的とする本庁舎への来庁者が圧倒的に多く、逆に東庁舎への来庁者はかなり少ない」ことが数字で明確にわかりました。警備体制などの参考にもなりましたし、毎日庁舎を利用している我々でも見えていない部分があると実感できたのは、ひとつの大きな成果だと感じています。

セキュリティゲートの写真
神奈川県庁でご導入頂いたセキュリティゲート
今回ご導入いただいたシステムの対応範囲の説明図
セキュリティゲート「ICカード×QRコード」読み取り部の写真
セキュリティゲート
「ICカード×QRコード」読み取り部

Q:すでに運用面での改善なども行われているそうですね。

そうですね。なにせ初めての取り組みですので、マニュアルは稼働しながら改善しています。また来庁者の生の声を聞くため、案内員に意見や苦情があった際は、報告してもらうようにしています。例えば「荷物運搬用にゲート開放時間を延長してほしい」といった意見を頂いた際はすぐに対応しました。他にも、「入庁証発行の際は個人情報を入力するので、画面の覗き見防止対策をしてほしい」といった意見もいただいており、こちらはこれから改善策を取り入れる予定です。

Q:今後、セキュリティゲートやシステムをどのように活用していきたいとお考えですか?

QRコード入庁証のシステムは発展性のあるものだと考えています。先々の話にはなりますが、東京都のように、スマートフォンで入庁証を事前発行できるシステムについてもいずれ検討していくことになるかもしれません。また、職員についても、職員証での認証ではなく、監視カメラと連携した顔認証を行うシステムを検討したいところです。

今回導入したシステムは、既存の建物に後付けで設置でき、据置型なので設置・撤去も比較的容易に行えます。対応するセキュリティレベルも幅広く、多くの自治体の参考になるのではないでしょうか。今後ぜひ「神奈川モデル」として全国へ展開していってほしいですね。

広野様、三枝様の写真

本事例で導入したシステムの概略図

本事例で導入したシステムの概略図の画像

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