気候変動への対応

近年、気候変動に起因する自然災害が世界各地で増加しており、異常気象や自然環境の変化が社会生活や企業活動に与える影響は増々大きくなっています。
環境負荷低減に向けた社会的な要請が大きくなる中、アマノグループは、気候変動を含めた環境問題への取り組みが社会課題解決と企業価値向上のために重要な経営課題の一つであることを認識し、 環境方針を定めております。
今後も、すべての事業活動において気候変動リスク緩和に向けた環境保全活動の強化を進め、TCFD の情報開示フレームワークに沿って、積極的な情報開示に努めてまいります。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同表明

アマノは、気候変動が事業に及ぼす影響を、TCFD 提言のフレームワークに準拠した「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目で評価した内容を開示しています。気候変動への対応は重要な課題であると考え、2022年10月にTCFD 提言への賛同を表明しました。今後も、気候変動に対する取り組みとTCFD 提言に基づく情報開示に取り組んでまいります。

アマノグループは、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念に共感し、事業活動と社会貢献活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。

ガバナンスについて

アマノグループは、気候変動などの環境問題に対応するため、環境マネジメント委員会を組織しCO2排出量削減などの取り組みを実行してまいりました。 更に、2022年4月には持続可能な社会の実現に向けた取り組みの推進と企業価値の向上との両立を目指すため、環境マネジメント委員会を包含する形で「サステナビリティ委員会」を設立しました。
当委員会は、各関連部門やリスクマネジメント委員会と連携し、気候変動対応の基本方針や活動目標、実施課題を策定し、策定したものについては、グループ会社にも展開しております。
また、取締役会は気候変動対応におけるCO2排出量削減などの環境問題に加え、持続可能な社会の実現に向けた事業貢献について、当委員会が検討した基本方針や活動目標の報告を年に1回以上受け、その進捗状況の評価、活動方針の実効性を承認し、監視・監督しております。

戦略について

アマノグループでは、気候変動におけるシナリオ分析および各事業へのリスクと機会が及ぼす財務的影響について、サステナビリティ委員会が、その特定・評価を行っております。現時点で時間情報システム事業・環境関連システム事業の製品を開発・製造・販売している当社における全事業共通のリスクと機会は以下のように特定しております。

移行シナリオ(2℃上昇)

評価項目 想定される状況 リスクと機会 影響度 対応策
大分類 小分類 具体的な事例 リスク 機会
政策 ・ 法規制 CO₂排出量の制限規制 ビルの省エネ基準の強化(ZEB※1対応の義務化)
  • 自社工場/オフィスにおける省エネ対応の設備投資コストの増加
 
  • 太陽光パネル等再エネ導入の拡大、省エネ設備投資
  • 支店等を省エネ性能の高いビルに移転
炭素税の導入 炭素税・排出量取引制度の導入(カーボンプライシング)
  • 調達先でCO₂排出量に対し炭素税が課され、仕入価格に転嫁されることによる原材料コストの増加
 
  • 材料コスト上昇分の販売価格への転嫁交渉
  • 調達先の新規開拓/代替検討
  • CO₂排出量が多い素材を減量する設計変更
  • 低炭素排出量の素材、部品への転換
  • 自社のCO₂排出量への炭素税の負担に伴う税務コスト増加
  • 自社の排出量取引や証書(クレジット)購入のコストが増加
 
  • 省エネ施策の推進とともに、自家消費用の再生可能エネルギー導入を拡大
市場 エネルギーミックスの変化 高額なクリーンエネルギー(再エネや水素)の導入推進
  • エネルギー使用料金が上昇することに伴う製造コスト増加
 
  • 省エネ活動推進によるエネルギーコスト削減
  • CO₂排出量の多いエネルギー源を使用した設備の更新、変更
  • コスト上昇分の販売価格への転嫁交渉
技術 需要の変化・消費志向の変化 低炭素技術への移行化に伴う研究・開発
  • CO₂回収・利用・貯留技術(CCUS)への導入・開発コストの増加
 
  • 低炭素化技術の先進企業との技術協力
  • 環境配慮型製品開発拡大の為の研究開発費及び設備投資コストの増加(CCUS以外)
 
  • 省エネ、省資源など顧客ニーズに対応した製品の開発
評判 消費者の行動変化 より効率的に資源を利用するために、リサイクルの利用、サーキュラーエコノミーが進展
  • 循環型(製造⇒使用⇒回収⇒製造)の経済・プロセスが進展することに伴う製品の製造コストの削減や廃棄物処理コストの低減
 
※2
  • 廃棄製品から材料を回収する資源循環への取組み
低炭素製品、サービスへの需要が高まり、その需要に対応するための環境配慮型製品・サービスのニーズが拡充
  • 社会の低炭素化に貢献する製品、環境配慮型の製品・サービスの販売による売上増加
 
  • 省エネによる高効率化など顧客ニーズに対応した環境負荷低減を考慮した製品の開発
  • リサイクル素材の採用拡大

※1 ZEB:Net Zero Energy Buildingの略称。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと
※2 現状の取り組みの範囲では大きな財務インパクトは想定されない

物理的シナリオ(4℃上昇)

評価項目 想定される状況 リスクと機会 影響度 対応策
大分類 小分類 具体的な事例 リスク 機会
急性 異常気象の激甚化 極端な気温変化による自然災害/異常気象の重大性・頻度(大雨、洪水、台風等)
  • 自社工場等の被災による販売機会の喪失、復旧コストの増加
 
  • BCPの継続的な見直し
  • 事業所相互による代替生産体制の強化
  • 調達先の生産設備の損傷による販売機会の喪失・売上減少
 
  • 複数社購買の徹底
慢性 平均気温上昇・異常気象 労働環境の整備・健康リスクへの配慮
  • 平均気温上昇に伴う従業員の健康確保や空調等のコストの増加
  • 猛暑等に伴う屋外での作業時間や時間帯の制限による作業効率低下
 
  • 作業環境の改善、インフラ整備
  • 作業時間短縮のための作業効率化の推進
ウイルスなどの感染症の蔓延、パンデミックの発生
    • 感染症の蔓延により工場が停止することによる販売機会の喪失・売上減少
    • 感染症の蔓延により部品供給が不足し操業が停滞することによる販売機会の喪失・売上減少
 
  • 各国の指針・方針に沿った被害防止策により損失を抑制

リスク管理について

サステナビリティ委員会は、各関連部門と協議の上、気候関連リスクを含むサステナビリティに関するリスクの洗い出しを年次で行い、シナリオ分析、財務的影響評価を適宜実施しております。また、そこで特定した重要リスクに対する対応方針については、サステナビリティ委員会およびリスクを所管するリスクマネジメント委員会が協議し、見直しております。特定した重要リスクや対応方針は、リスクマネジメント委員会を通じ、リスク管理統轄に報告し承認を得ております。

指標と目標について

気候変動リスクの評価指標として、CO₂排出量を選定しており、目標値・実績は、「環境負荷低減の取り組み」で開示しております。

今後開示を予定する項目

CO₂排出量のScope3の開示は、今後検討を進めてまいります。

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